乱斗の隠れ家

てけとーにあれこれ自分語り

ゲイを分かつ「一つのもの」

LGBTが差別集団でショックを受けた
https://anond.hatelabo.jp/20190314123054

 読んだ。ので、てけとーに思ったことを書く。
 主語デカすぎとか単語の使い方が雑すぎとか色々言いたいことはあるけど、そのあたりは既にブコメで散々言われてるので、ここでは深く突っ込まないことにしておく。あと差別どうこうについても触れない。差別集団だと思うならきっとそうなんだろう。

 

 まず最初に

キモくて金のないLGBT大学生です。

とあり、「Lなの?Gなの?Bなの?それともTなの?」と思ったのは俺だけじゃないと思いますが、9monsters(通称:ナイモン)を選んだということで、恐らくこの増田はGなんでしょう。
 あ、俺もGです。どうぞよろしく。何をだ。

 

 ところで俺は、ナイモンなるアプリを使ったことがありません。使ったことがないので、どういうアプリかはわかりません。『怒り』で優馬が使ってたアレかなーってぐらい。
 これは別にカマトトぶってるわけではなく、かなり昔に何度か出会い系と呼ばれる類のサイトを利用したことはありますが、ナイモンの存在を知った頃にはもう飼い猫と同居していたために、使う必要が全くなかったというだけの話です。そういや優馬も、直人が来てからはアプリ開いてなかったな。
 ちなみに出会い系サイトで一番面白かった経験は、一緒に夏祭りへ出かけるためだけの出会いでした。そんなこと言って結局ヤるこたぁヤるんでしょ?と思ってたら何もなかった。一緒に串焼き肉食って花火見てハイさよなら。綺麗だったねーとか言いながら。お前、ヤり目の人間ばっかいる場所でよくそんな募集かけようと思ったな?

 

 ……思いがけず「ヤり目*1」という単語が出てきましたが、これは冒頭の増田が訴える問題を切り取るのに都合が良い視点のような気がします。
 レストランへセックスをしに行く人は恐らくいません。公衆浴場へメシ食いに行く人も、まぁいないでしょう。レストランは食事するための場所だし、公衆浴場は入浴するための場所だから。
 それと同じように、出会い系と呼ばれるもののほとんどは、性的な何がしかを目的とする場所です。そこへ集まる人の目的としては概ね、「カラダ目当て」が最初にあります。カラダ目当てである以上、ルックスを判断基準にされるのは自然なこと*2で、そこで「キモくても包摂しろ」と叫ぶのは、公衆浴場で「メシを出せ」と叫ぶのにも似て、なんだか滑稽だなぁと俺は思うわけです。

 

 かなり昔の出会い系サイトと最近の出会い系アプリを一緒にして考えるのは良くないんだろうなぁと知りつつ、それでも自分の経験を元にして語るなら、およそ出会いを目的としたゲイコミュニティほどルッキズムが幅を利かせてる場所もそうはないだろうと思いますね。俺は大して顔が良いわけじゃないしモテ体形でもない上に根性までババ色ときたもんだから、当時は大層苦労しました。それでも若いってだけでチヤホヤされる部分があったりしたんだからよくわかんない。
 そういうわけで俺は、早々に出会い系サイトでどうこうしようと考えるのを諦め、後にゲイバーの存在を知って救われたわけなんですが。当時はなんとなく、「一つのもの」に弾かれた側であるはずのゲイ達がまた、「一つのもの」に拠って他の者を弾くのってナンセンスだよなぁ、みたいなことを感じていました。なんでこう、「モテ筋」みたいなもんが生まれるんでしょうね。不思議だなぁと今でも思っています。
 一つ、突っ込み以外で冒頭の増田に言いたいことがあるとするなら、さっさとアプリなんか捨てて飲み屋でも行けばいいよ、ってぐらいですかね。飲み屋じゃなくて何かのサークルでもいいんですけど。いずれにせよ、そういったゲイカルチャーに関する窓口みたいなもんとは接点を持っておいた方が、これからの長い人生、生きていきやすいだろうと思います。
 一口にゲイと言っても様々な人がいるんだから、一つの場ですべて包摂しようだなんて土台無理な話なんです。そういうのは目的によって細分化されたいくつもの場に求める方が良い。自分と合わない場所に居たってしんどいだけなんだし。

 

いままで同性婚の実現やLGBTの方々への差別解消のために頑張ってきたけどもう嫌になりました。

 恩着せがましく書いてるけど、ゲイだからといってみんながみんな同性婚を求めてるわけではないし、差別反対って叫んでるわけでもないんですよ。幸か不幸か、多く?のゲイにとって今という時代はそこまで求めなくても「それなりに」楽に生きていける時代なんです。それをして俺は時折「お気楽ゲイライフ」なんて言ってみたりもするんですけど。
 だから別に、そんなとこで頑張らなくたっていい。もっと身近なところで、自分の手の届く範囲で、自分自身の幸せをまず求めてくれたらいいなぁ、と。ただでさえヘテロの人と比べて抱えなくていい面倒を抱えがちなのがゲイなんだから。と、そんなじじむさいことを俺は思いました。

 


 

  • あとがき

 

 ルッキズムって単語は今回初めて使いましたけど、割とここ数年で急に存在感を増してきた感じありますね。およそ否定的な文脈で使われることが多く、ややもすれば無条件で悪いものと考えそうになってしまいますが、社会的な場でのそれと個人的な場でのそれはある程度分けて考えないと無用な混乱を抱えることになりそうだなぁ、ぐらいの感覚があります。
 全然関係ないけど、最近ヤンマガで連載が始まった『雪女と蟹を食う』って漫画が結構面白いです。エロいけど。

 


*1:ヤり目的、の略。性交渉のみを目的としているさま。あんま略せてねーじゃん、というツッコミは妥当に見えるが、音数は半分にまで減っている。

*2:自然だから良いとか、はたまた悪いとか言うつもりはない。ただ「自然の成り行き」というぐらいの意味。